2011年12月28日

吹き抜けは何のため


吹き抜けは1階の居間を中心に繋がるダイニングやキッチン、和室などの空間と2階の廊下から各個室へと、タテ方向からヨコへの広がりと連続して、ひとつの空間になってしまいます。

それぞれの繋がり方は、用途上の関係の深さに比例して相互の開放性が決定されています。

例えば、居間とダイニングはほとんどの生活時間で一体でなければなりませんが、不意の来客時などには大きな間仕切りで区切ります。

トイレや洗面所、個室は開放された吹き抜けに繋がってはいますが、扉や視線に遮られて独立性を確保できるようになっています。

この考え方は空気も壁で完全に区切られてしまうことのないように、家全体がひとつの熱環境の容器である必要性と呼応しています。

断熱や気密などの省エネルギー性能を確保できてはじめて実現するのです。

画像は2階の吹き抜けを囲む廊下部分ですが、1階の居間の一部であっても廊下の独立性、2階の独立性を確保するために手すりの役割に棚としての役割を付加しています。

惜しむらくは住宅の吹き抜けの排煙窓の扱い方が複雑なこと、上部に見える排煙オペレータを設置した四連窓に違和感を感じませんか。

火災時の煙抜きを目的にしているのであれば、公共的要素のいちばん低い住宅においては多くの選択肢を用意して欲しいものです。

建築基準法の考え方を整理の必要性を感じます。


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posted by まちかどけんちくか at 21:08| Comment(0) | KO_house 現場監理記録

2011年12月11日

階段や廊下は脇役ではない

設計段階で建築主さんの要望をお聞きしながら設計者としての「こだわりややりたいこと」との間を埋めていくと、あちこちで壁にぶつかります。

何度も打ち合わせを重ねるうちに迷路にさまよう込むこともしばしば。

特に面積の制約という壁にぶつかると階段や廊下といった居室と居室を繋ぐ部分は消す工夫をし始めます。

ところがそういったときこそ階段は1階と2階を繋ぐ縦方向の廊下となるため両方の階のプランを決めてしまうことを思い起こし、最大限生かすことに集中してプランを練り直すとあっさり解決することがあります。

このあたりは実際やってみてわかる経験的な面白さ、パズルゲームにも似た爽快感です。

そして面積節約には無駄とも思えた階段や廊下は明るさや風の通り道となりむしろ脇役ではありません。

画像は居間の北側にあり1階の中央部にある階段と玄関から南へ、そして東へ回り込んで居間へ入る部分にある廊下です。

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2011年11月21日

カンディーハウスのデザイン

カンディーハウスは北海道の木を使ってオリジナルデザインの家具を作ってくれる注文家具メーカーです。

設計当初より建築主さんからご自分で内装デザインに合う家具を探してみたいということで相談を受けていました。

家具には「造り付け」といって建物の一部になってしまうような固定式で製作工場もその専門分野があるもの、従来の「置き家具」形式の製作工場と大きく分かれています。

使用する機械は似ているかもしれませんが、カンディーハウスのような置き家具形式ではデザインや木の使い方、継ぎ手の方法、加工の方法など、各社で工夫を凝らして特徴をアピールしています。

名古屋のショールームへも確認に出かけてしつらえたのが、居間のテレビボードやテーブル、ソファー、ダイニングのテーブルや椅子です。

内装の仕上がりは木のテクスチャーとそれ以外の面積比や配置や色のバランスにいつも注意していますが、建築主さんもその考え方を汲み取って購入していただけました。

しっくり似合っているのが気持ちいいです。

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posted by まちかどけんちくか at 07:56| Comment(0) | KO_house 現場監理記録